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【初心者向け個展の開催方法】実際に個展が迫っている筆者が備忘録を兼ねて解説します。

ユミ

こんにちは。サプリメントアートカリグラファーのユミです。

まだまだ暑い日が続いていますが私は芸術の秋に向けてちょっと焦っています。

なぜかというと10月に個展を開くからなんです。(いきなり重大発表!)

個展は2回目なのですが、いろいろ分かっているつもりで高をくくっていたら意外と時間がなくて焦ってしまっている状態です。

個展を開くというと「すごいね!」とか「大先生なの?」とよく言われるのですが、やろうと思えば誰でもできるのです。でも一般的には敷居が高く未知の世界のイメージというのは分かりますよ。

私の場合は、子どものころから書道展や美術部の展示などで自分の作品が展示されるということに慣れていたのかなと思います。また画家で高校の美術の先生でもあった恩師が毎年個展を開いていて、そのお手伝いもしたこともあることから個展というものにそれほど抵抗がなかったというのもあるのでしょうか、初個展もそれほどハードルを感じることもなく開くことができました。

個展を開くハードルは低かったものの、それでも準備するのはこんなに大変なんだと実際開いてみて改めて思いました。

個展を見たりお手伝いするだけでは分からなかったことが多く、ネットでいろいろ調べて様々な情報に助けられたのですが、そこには書ききれていない細かい準備もたくさんあって自分で考えることが多いことにも気づきました。また、個展ですから100人個展を開けば100通りのやり方、問題が発生してくるのでやってみなければ分からないことも多いと思いました。

今回の個展は前回とは違う場所で開くため、新たな問題も実際出てきていて、気を抜けないなと感じています。

というわけで、個展前の焦っている状態でブログを書いている場合でもないのですが、自分の頭を整理するためにも、備忘録としてもいいのではないかと思い、記事を書くことにしました。プラスして個展を開きたいけどどうすればいいのか分からない方のお役に立てれば幸いです。

個展を開く大まかな流れ

個展のコンセプトを決める

作品を作る

会場を探す

ダイレクトメール(DM)を作成

キャプション、プロフィールボードなど印刷物を作成

DM発送、SNSなどで宣伝

会場に搬入

個展開催

会場から搬出・精算

売れた作品を納品

お礼状発送

大まかにはこんな感じですが細かい部分を入れた説明をしていきます。

個展のコンセプトを決める

どんなテーマで何を展示するかを決めます。

個展のタイトルにもできますし、観る側としては何が観れるのかよく分かります。

また展示に統一感が出ます。

いつ頃開催するのか予定を立て、予算を決め、家族の了承が要る場合はきちんと話をしておきます。

作品を作る

テーマに沿った作品を制作しますが、観る人が飽きないように似たような作品ばかりでなく、変化を持たせた方が良いです。

また、サイズも小さいものから大きいものまであると良く、値段の張る大きい作品の数は少なくします。

会場を探す

個展の1年前

テーマを決め、作品の数がある程度揃ってくると、展示にあった会場を探しやすくなります。会場はギャラリーであったり、公共施設、カフェギャラリーなど様々です。普段からアンテナを張って候補を見つけておくと良いです。

その中から、自分の作品の雰囲気や数、大きさが合うところ且つ予算に合うところを選びます。作品が小さいのに広い空間では作品が映えませんし、その逆で大きい作品が狭い空間にあると、数が入らなかったり、観辛くなります。ですから見取り図を確認することが大事です。見取り図から壁面の長さ、平面展示の面積などを出して、作品がどれだけ飾れるか考えます。

料金は賃料だけの場合と、売上の何%かを支払う場合、などがあるので予算に合わせてよく考える必要があります。

実際に会場を見に行くことは大切です。イメージを掴んだり、会場の周りがどんな雰囲気なのか、アクセスしやすいかも分かります。自分が会期中通いやすいかも重要です。

ここぞという会場が見つかったら申し込みますが、自分の作っている作品がどのようなものか分かるものの提出が必要です。審査に通ったら予約します。

会場の予約は1年前、少なくとも数か月前にはしておきます。人気のところは2年前から予約で埋まっていたりしますので情報だけは集めておきます。

また自分が在廊できないときに接客をしてもらえるのか、代わりのお手伝いの人をお願いしないといけないのかの確認も必要です。

会場と打ち合わせをする

会場では何をお借りできるのか、釘やピンを打てるのか、テープの使用はできるのか、什器は何を使えるのか、持ち込めるもの、飲食の可否などの確認もします。

会場の写真を撮らせてもらい、作品のレイアウトを考えるときに見取り図だけでは分からない部分を補います。

搬入搬出の日時を確認します。
梱包資材を預かってもらえるか、持ち帰るかを確認します。

その他、予約時に分からなかった細かいことを確認します。

ダイレクトメール(DM)を作成

個展の2~3か月前

個展の案内状(ダイレクトメール・DM)を作ります。

これは自分で印刷まで全て行う、デザインは自分でして印刷会社に印刷してもらう、デザインも印刷も全て外注する、というパターンがあります。自分の力量と予算によります。
ギャラリーの場合はギャラリー側が作ってくれたりします。

DMの内容としては

タイトル
内容
作品の写真
日時
開催場所・地図
連絡先

以上は必須項目ですが、在廊予定が分かるような表だったり伝えたい情報のQRコードを入れたりしても良いでしょう。サブタイトルを付けてもよいです。
「料金別納郵便」と印刷で入れてもらうといちいち切手を貼らなくてよく、郵便局でまとめて支払えます。ちなみに私は子どものころ集めていて持て余していた切手コレクションから支払いました(笑)

枚数の決め方ですが、郵送する分+手渡しする分+会場が配布する分+会期中会場に置く分+協力店などに置いてもらう分 となります。

DMの送付者リストを作っておきます。どなたに出したか分からなくなるのを防止するためと、宛名印刷ができること、次回の個展では新しいお客様を追加して使えるので便利です。

DMができあがったら、宛名を書き(または印刷し)一言加えるなら時間に余裕をもって書いていきます。これは年賀状と同じ要領ですが年賀状よりシビアです。「DM発送、SNSなどで宣伝」に間に合うようにします。

宛名を印刷できない紙質のDMの場合、宛名シールを作って貼ることになるのでその作業も発生します。

作品を額装する

個展の1か月前

額装する作品の場合は作品が溜まったらまとめて額装に出します。

私の場合は作品ごとに額縁のデザインとマットの種類、サイズを決めるので、控えを書きやすいように作品の写真をリストにした用紙を持って額装屋さんにお願いしています。

納品には2週間くらいはみておきます。

額縁サンプル

額装品引き取り時に出来上がったDMも持参できるといいですね。

気をつけたいのはDM作成前に額装に出してしまってDM用に写真も撮っていなかった場合です。青ざめますね~

額装に慣れていたり、使う額縁が全作品同じなどの場合、作品は手元にあるままネット注文で安上りにすることもできます。その代わりに作品をセットする手間は発生します。

額装品を受け取ったら写真を撮るのをお忘れなく。

カメレオン

額装については下記の記事も参考にしてみてください。

額縁とチューリップ

キャプション、プロフィールボードなど印刷物を作成

個展1か月~2か月前くらいから始める

これが一番手間のかかる事務作業かなと思います。具体的に準備を進めていくとどんどん出てくるので早いうちから大まかな作業量を把握しておいた方がいいでしょう。

ギャラリー側が作ってくれたりする場合もあるためどのような個展かによって作業内容は変わってきますが、基本自分で作成するものとして書いておきます。

キャプション 

作品のタイトル、ふりがな、使用した画材、制作年、金額を書いたもの。
販売品でない場合は非売品個人蔵などを金額のところに書きます。
大きさは自由ですが、私はA4用紙一枚に12枚入るようにワードかエクセルで作って印刷し、ハレパネに貼ってからカットしています。
ハレパネというのは発泡スチロールのボードで粘着面があり、印刷した紙を簡単に貼ることができるものです。


厚みのあるものを使うことで会場のライトに照らされたときに影ができて高級感や重厚感が出ます。
私は3㎜厚のものを使っています。5㎜厚だと厚すぎて切りにくいです。これを会場ではマスキングテープを丸めて壁に貼ります。
マスキングテープが使用できない場合は「ひっつき虫」もおすすめです。


私の作品はカリグラフィーなので日本語訳もキャプションとともに貼っていますが、作品の解説を付けるかどうかは個人の判断です。

厚みが3㎜でも、切り方に慣れるまで時間がかかると思いますので初めての方は予備があると安心です。
よく切れるようにカッターナイフは刃を新しくしておきましょう。

手書きがダメというわけはなく、展示の雰囲気では手書きが良かったり、作家の個性や温かみが出たりします。

プロフィールボード 

A4サイズで簡単なプロフィールと活動歴、受賞歴などを分かるものを作り、ハレパネに貼ってボードにし、会場入り口あたりに貼ります。自立式にしてテーブルにおいてもいいですね。

・DMの宛名作成

「ダイレクトメール(DM)を作成」の項でも書きましたが、宛名シールが必要な場合はDMのサイズに合った宛名ラベルを購入し、宛名リストから印刷します。

即時販売グッズの値札 

キャプションと同じように作ったり、値札シールを貼ったりと場合によります。
上記のキャプション、プロフィールボード、値札のデータができないと、ハレパネの必要枚数が分からないのでアマゾンで注文するにしても早めにデータを作りましょう。

購入申込書 

エクセルなどで作成。お名前、住所、連絡先、購入作品、購入金額、現金か振込か、振込先を記載した控えを渡せるようにします。

作品リスト

展示する作品リストを自分用、会場用の2種類作ります。
エクセルで作ると便利です。作品画像とタイトルと原価(額装代、材料費)を入れておけば販売価格を決めやすいです。
展示品の合計販売額や合計原価を自動計算にすると楽になります。
会場側に渡すリストは自分用のシートをコピーして原価を消しておけばいいですね。

販売手順

在廊できないとき、お手伝いの方に頼むときなどのために販売手順を作成してお渡ししておきます。

ポートフォリオ 

プロフィールボードより詳しいもので、A4サイズのクリアファイルなどで作ります。過去の作品の写真、実績などを入れたり、オーダーするならどの大きさでどれくらいの値段になるのかといった情報も入れたりします。

名刺 

会期中に足りなくならないように作っておきます。

立て看板用のポスター 

会場の外に置くものです。メニュー立てのような看板だったり、掲示板のような形だったり、イーゼルタイプだったり、会場によって様々なので確認してサイズにあったものを作ります。

額縁の箱に貼る名札 

搬出時には作品を搬入時の箱(額装の箱)に梱包するので、どの箱にどの作品が入っていたかが分かるようにしておかないと困ってしまいます。
マジックなどで書いてしまうとめでたく売れた場合に見た目も悪いですし、額はそのままで作品を入れ替えた場合におかしくなってしまうので、私は作品の写真を小さく印刷して箱の側面にマスキングテープで留めておきました。
タイトルだけではお手伝いしてくださる方がいる場合は分かりにくいので写真の方がいいと思います。数が多いと自分でもタイトルだけではどれだか分からなくなりますし。

グッズの説明書 

グッズを個包装した場合、中に入れたり、貼ったりする説明書が必要な場合もあります。

持ち物リスト 

意外に用意する持ち物は多いので思いついたらリストに入れていきます。

作品レイアウト図面 

会場の見取り図に作品の画像を貼った簡単なレイアウト図を作って搬入時に持っていくと作業がスムーズになります。

DM発送、SNSなどで宣伝

個展1か月前~2週間前

DMは送る時期が早すぎると個展の存在を忘れられてしまいますし、遅すぎると他の予定が入ってしまって来ていただけなくなったりします。協力店(お世話になっている画材店、額屋、美容院、カフェなどなど)にも持参したり、郵送したりします。

郵送の他にはメールやLINE、インスタグラムやフェイスブック、ツイッターなどのSNSを使って告知します。フェイスブック広告などは低料金で幅広く広告できます。

ウェブサイトを持っている場合はそちらでも告知します。

また、新聞社などにプレスリリースすることもできます。メールではたくさんの情報に埋もれてしまう可能性があるので、郵送でDMやプロフィールとともに自分の活動を知ってもらう手紙を入れ、取材の価値を感じられるような内容にすると良いでしょう。

会場に搬入

会期の前日など

搬入するには梱包が必要です。大事な作品なので破損などないようにしたいですね。
宅配業者に頼むなら美術品扱いにするとよいでしょう。

会場側から指定される場合もあります。

作品以外にはキャプション、プロフィールボード、ポートフォリオ、芳名帳、ペン、その場で販売するグッズがある場合は個包装やレジ袋、会場側に渡す作品リスト赤丸シール、購入申込書、セロテープ、はさみなどがあります。
これらを収納しておくための入れ物も必要になります。

搬入時はメジャー、水平器、釘、ハンマー、マスキングテープなど必要と思われる道具も持参します。

あらかじめ決めておいた作品レイアウト図も忘れずに持っていきます。

搬入経路、駐車できるかどうかなど事前にシミュレーションしておきます。

設営後、梱包材は持ち帰るのか、預かってもらえるのかは事前の取り決めによります。

意外と引っ越しのように荷ほどきと片付けが大変で、力仕事だったりするので動きやすい服装で挑まなければなりません。

私の初個展では2m×6mくらいのギャラリーで大小合わせて20数点、小物も少しありという規模でしたがギャラリーの方がお手伝いしてくれて2時間くらいかかったでしょうか。意外と時間がかかります。

個展開催

いよいよ開催です。緊張と不安もありますが楽しむことが一番です。

今まで日の目を見なかった作品たちを世に出して見ていただくのですから、作品にとってもこんなに嬉しいことはないですし、人との出会い、人と作品との出会いを是非楽しんでください。

作品を購入してくださる方には購入申込書を書いていただき、料金は現金でいただくか後日振込していただくか決めてもらいます。会期中は作品を展示しておくので納品の仕方も決めます。発送する場合は送料の確認もします。

購入された作品はキャプションの金額のところに赤丸シールを貼ります。

即時販売のグッズ等がある場合は釣銭を用意するのをお忘れなく。

ギャラリー側を通す場合はこの限りではありません。

できるだけ在廊して接客します。芳名帳に書いていただけると次に繋がるのでよいです。

芳名帳に書かない方もいらっしゃるので、どんな方が来てくださったかメモを取っておきます。

会期中の様子は写真に撮って、会期中もSNSなどで宣伝しましょう

会期中持参するものとして、名刺、飲み物、デジカメ、釣銭、領収書、印紙、ペン、メモ帳、などがあります。

会場から搬出・精算

個展が終わったら決められた搬出時間に搬出します。梱包が大変ですが搬入ほど時間はかからないと思います。

キャプションなどは再利用できたり、購入者に作品と一緒にお渡ししたりするので丁寧に剥がします。

ゴミが出ますのでゴミ袋持参できれいに片づけます。

会場側と精算がある場合は済ませます。

ウェブサイトやSNSなどで無事終了したお礼と報告をします。

売れた作品を納品

個展後なるべく速やかに

作品の納品は持参するか、配達にします。
作品とともにキャプション、作品の解説、プロフィールなども同封するといいです。

お礼状発送

個展後なるべく速やかに

芳名帳を見て、来てくださった方にお礼状を送ります。芳名帳になく、メモに書いた中で住所が分かる方にも送ります。ハガキでも封書でも、好きな方で構いません。SNSなどでしか繋がっていない方にはそういった媒体でお礼を伝えます。

お客様情報の取り扱いには注意します。

個展後の振り返り

個展後忘れないうちに

次回に繋げるためにも、今回の個展での気づき、感想、反省点などを洗い出します。
終わって暫くすると忘れてしまうのでなるべく早いうちにします。
これは次回の個展準備の際、書いておいて良かったー!と思うはずです。

購入品リスト

  • ポートフォリオ用ファイル
  • ハレパネなどののり付きスチレンボード
  • グッズ用個包装の袋
  • 持ち帰り用袋
  • 梱包用品
  • マスキングテープ
  • 芳名帳
  • 名刺
  • DM
  • お礼状ハガキ
  • 領収書
  • 印紙 (税抜きで5万円以上100万円以下の領収書に200円の印紙が必要)

出費予想

  • 購入品リストの購入品代金
  • 会場使用料
  • 搬入費(宅配便の場合)
  • 会場までの交通費
  • 駐車料金
  • DM、お礼状の郵便料金
  • 昼食代など
  • 作品制作にかかった費用

まとめ

改めて書いてみると結構な量になり驚いていますが、頭の中も整理されてきましたし書いているうちに「あ、これもあった!」「こうした方がいいな」という気づきもあったので記事を書いてよかったです。今回の個展でまた気づきがあったり、変更点、追加点などあれば更新していきたいと思います。

前回個展を開いたときは、「個展って一人文化祭だな~」という感想を持ちました。ほとんどのことを一人でやらなければならないので段取りが命です。なので個展をしたいと思っている方の参考の一つになって少しでもお役に立てれば嬉しいです。
個展を観る立場であっても「こんな作業してるんだな」と思いながら観ると面白いかもしれませんね。

ユミ

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

10月の個展については改めてお知らせします。お楽しみに!