カリグラフィーの道具について、ペンと紙の次はいよいよインクと絵の具です。
ここではカラーインク、墨、クルミインク、透明水彩絵の具、ガッシュをわかりやすく説明します。画材の特徴を理解すると使うときに迷わなくて済みますし、表現の幅も広がります。ここまでわかってしまえばもう書けてしまうので早速いってみましょう!
Contents
インクについて
カラーインク
カラーインクには染料系と顔料系という原料の違いがあります。
染料系は透明感があり発色がいいのですが耐光性が弱く色褪せの心配があるので、作品として飾るよりは印刷の原稿として使用したり、練習に使用するのに向いています。
保管するときも光の当たらないところにする必要があります。
顔料系は耐光性があります。メーカーにもよりますが不透明です。
また、インクは特にカリグラフィー用と書かれていなくても大丈夫です。
つけペン用の水性インクならよいのですが、耐水性と非耐水性があり、屋外に使用しないのであれば非耐水性を選びましょう。耐水性のものは乾いた後に耐水効果が出ますが、ペン先がすぐに乾いてしまうので取り扱いが難しいです。
おすすめのカラーインク↓
ターレンス エコライン
染料系インク
素晴らしい発色で混色自在。透明度も高いです。蓋の裏にスポイトがついていて便利。
墨
墨もインクに含まれます。英語ではJapanese ink、Chinese ink、sumi ink、ink stickと言ったりします。黒色の発色もいいですし、伸びもよく細い線もきれいに出ます。乾くと耐水性になります。
海外のカリグラファーも好んで使っているようです。なんだかうれしいですね!
一口に黒といっても茶系、青系などいろいろな黒があるので、好きな黒を探すのも楽しいです。
また墨には黒だけでなく彩墨といってカラフルな墨もあります。
墨の一例
墨汁タイプはそのまま使えるタイプと薄めるタイプがあります。固形タイプは使いたい量を磨ればよく、保存性があります。
ペン先が傷みやすいので使用後はペン先をよく洗ってください。
墨運堂の「墨の精 №9」は合成糊剤を使用した液体墨です。
天然膠を使用した墨よりも保存性が良く、公式サイトでは5年と表示されています。
2倍から60倍まで、好みの濃さに薄めて使うことができるので表現の幅が広がります。
こちらは墨運堂の固形墨「清尚」です。
筆ではなくカリグラフィーのペンで使う場合は固形墨を磨った方が、ニブからのインクフローがなんとなく良い気がします。液体墨も固形墨も本当にたくさんの種類があるので試しきれませんが、お値段も手ごろで個人的に好きな青みの強い色味なので気に入って使っています。
クルミインク(Walnut Ink)
クルミの実を煮て作られたインクで、他にはない美しい深い茶色が出ます。
カリグラフィーショップでは乾燥させて粉状にして売られているので、水で溶いてお好みの濃度で使います。
クルミの殻から手作りすることもできるので興味のある方は検索してみてください。
クルミインクを使った作品の一部
バックグラウンドには透明水彩絵の具を使っています。
絵の具について
カリグラフィーでよく使われる絵の具はガッシュですが、ガッシュという言葉を聞きなれない方もいらっしゃると思うので水彩絵の具について少し説明したいと思います。
水彩絵の具の種類
水彩絵の具には透明水彩絵の具と不透明水彩絵の具があります。
水彩絵の具というと普通は透明水彩絵の具を指します。(ウォーターカラーともいいます)そして不透明水彩絵の具のことをガッシュといいます。
水彩絵の具は顔料とアラビアゴムでできており、アラビアゴムが多ければ透明感が出て、少なければ不透明となります。
小学校で使う絵の具セットの絵の具は学童用に作られていて、水を多く含ませれば透明水彩風、水を少なくすればガッシュ風に描ける半透明水彩絵の具です。
透明水彩絵の具の特徴と使い方
・透明水彩絵の具は塗ったときに下の色や紙の色が透けて見える
・白は紙の白色を生かして表現します。白を混色すると鈍い色になり透明感が失われる。
・水を多めに使い、にじみやぼかしの表現ができる。
・乾いても水で溶かせば使えるのでパレットに出したまま保管が可能。
ガッシュの特徴と使い方
・薄めすぎるとムラになるので水を少なくしてコーヒーフレッシュくらいの濃さで使う。
・下の色が透けないので塗り重ねができる。
・強い発色性がある。
・明度を上げるには白を混色する。
・乾いた絵の具は水をつけても元には戻らないので必要な分だけ溶く。
・透明水彩絵の具より耐光性が高い。
カリグラフィーにはどう使ったらよいか?
以上、水彩絵の具について説明しましたが、文字をはっきり鮮明に見えるように書くにはガッシュが向いていることがわかりますね。耐光性もいいので保存に向きます。
私はガッシュの鮮明さと程よいとろみ具合が好きなので練習時もガッシュを使うことが多いです。
ですが透明水彩絵の具を使わないわけではありません。作品に合わせた表現方法で使い分けるとよいですし、バックグラウンドを透明水彩絵の具で作り、その上からガッシュで文字を入れるというやり方もあるように、それぞれのいいところを取り入れていくといいですね。
以下、私の愛用品を紹介します。
ウォーターカラー(透明水彩絵の具)
上:ウィンザー&ニュートン(Winsor&Newton)
下:ホルベイン
ウィンザー&ニュートンはイギリスのメーカーです。世界堂などの大きな画材屋には置いてあります。
ホルベインは日本のメーカーなのでどの画材屋でも手に入りやすいです。あの宮崎駿さんも愛用されてます。
どちらも発色が美しいです。
ガッシュ(不透明水彩絵の具)
ニッカー:デザイナースカラー
なめらかな溶き具合、発色が素晴らしい絵の具。
12、18、24、36色セットがあります。20ml入りなので長く使えるのがいいです。全部で98色もあるので単品でお好みを揃えるのもいいですね。
尊敬する世界的カリグラファーのジョン・スティーブンス氏も愛用されています。彼はニッカーのアンバサダーでもあります。
ニッカー:ペインターズガッシュ
最高級のアラビアガムを使用した、絵の具の伸びが極めて良い不透明水彩絵具。
12ml入り 全13色。
パッケージのデザインはあのジョン・スティーブンス氏によるもの!それだけでも買う価値ありです!
ウィンザー&ニュートン、ホルベインにもガッシュはあります。透明水彩と合わせたい方のために参考までに載せておきます。
水で溶かす絵の具にはアクリル絵の具もあります。こちらは耐水性があり、どんな素材にも書けるメリットがありますが速乾性のためペンにつけるには扱いが難しいです。
まとめ
カリグラフィーのインクにはカラーインク、墨、クルミインク、透明水彩絵の具、ガッシュがある。
耐光性、耐水性か非耐水性か、透明か不透明かなど、画材の性質をよく理解した上で使うと良い。
初心者はガッシュがおすすめ。
以上、【カリグラフィーの道具 その3】インクと絵の具について でした。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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