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【作品の制作過程】カリグラフィー作品『ツバメ』の制作過程をお見せします!

ツバメの完成全体像

カリグラフィー作品の作り方は色々な本に出ていますが、実際に作品を作ろうとすると戸惑うことが多かったり、意外に時間がかかったり、本当にみんなこんな風に作っているんだろうかと思うことありませんか?

作り方は人それぞれでいいとは思っても、やっぱりちょっと人のやり方も見てみたいですよね。

というわけで、少し恥ずかしいですが私の作品「ツバメ」の制作過程をお見せするので、興味のある方はご覧ください。

カリグラフィーをしていない人には、アナログすぎてこんなに手間が掛かるのかと驚くのではないでしょうか。フォトショップなどで緻密にレイアウトを練る方法もあるかと思いますが、微妙な文字の大きさの調整など手作業の方がやりやすかったりするので私はこの方法でずっとやっています。

ほぼ独学なので制作過程の指導を受けたことはないですが、建築を学んでいた学生時代、製図をしたりプレゼンを描いたりしていた手順が基本になっているのかもしれません。

作り方に正解はないので、一つのやり方として参考にしていただければと思います。逆にこんないいやり方あるよ!という方は是非教えてくださいね!

1)構想段階

私は鳥が好きなので鳥を題材にした作品を作っています。今年もツバメがやってくる季節になり近所のお店の軒先にツバメが巣作りを始めたので、ツバメを題材にすることにしました。

ツバメのひな

まずはどんな文章を書くかですが、渡り鳥で人のいるところを好んで巣作りするというツバメの生態が興味深いので、それを調べ日本語で文章を書いていきます。子供でも分かる内容にしています。それから英語に翻訳しますが、最初から英語で書けたらかっこいいのですが翻訳ソフトを使ったり、旦那にチェックしてもらったりしています(汗)

絵の部分はイメージに合うものをフリー画像で見つけたり、参考になりそうな画像をアレンジして使います。

今回はツバメの渡りから子育て後のヨシ原での集団生活までの流れを書きたかったので、なんとなく流れを表現できるように縦長のレイアウトがいいかなということになりました。

大きめの作品になりそうですし、額装するとなるとオーダー額にしなければならないような中途半端なサイズだと困るので、お世話になっている額縁屋さんに縦長の額縁の種類を教えてもらったりするなど、構想段階が一番あれこれと考えている時間かもしれません。

ツバメの下絵

2)ラフスケッチを描く

まず最初に何となく浮かんだイメージをスケッチします。なかなか決まらないときもあれば、すんなり描けてしまうことも。

完成作品イメージのラフスケッチがあったのですが残念ながら捨ててしまったようです。

この画像はラフスケッチに合う写真をフリー画像などから持ってきて描き起こし、ピグマペンで清書したところです。

ツバメの下絵のコピー

3)下絵のコピーを取る

切り貼りなどしてレイアウト確認をするのでコピーを取ります。

下書きのレイアウト

4)レイアウトしてみる

イメージ通りにレイアウトしてみます。

文章はカリグラフィーにすると改行位置や段数が変わってきますが、大体の感じで鉛筆書きしています。結構適当です。ここでは80%くらいを目指してます。文字を実際書くと変わるからです。

ガイドライン引き

5)カリグラフィー用の下書き準備

本番と同じ紙を使い、文章の下書きをするためのガイドラインを引きます。本番と同じ行間でとりあえず引きます。
写真は平行定規で引いています。

ガイドラインの引き方は下記の記事を参考にしてください。

定規いろいろ
文章を書いていく

6)カリグラフィーの下書き

4)の紙に改行は関係なくどんどん文章を書いていきます。イタリック体で本番と同じガッシュを使います。

レイアウト完成

7)レイアウトする

5)で書いた文章を一行ずつ切り分け、改行するところで切って並べていきます。「貼ってはがせるのり」を使うとズレずに並べられます。

ここが一番悩むところでしょうか…何度も貼りなおしました。何となくモヤモヤしていましたがこの時はこれで良しとしました。

よし原の試し描き

8)試し塗りをする

本番と同じ紙に試し塗りをして色や塗り方を決めていきます。ツバメの巣の部分も試し塗りをしています。
ぶっつけ本番で塗れるくらい上手くなりたいものです。

レイアウト変更

9)レイアウトの再考

8)の試し塗りをしている最中も何となくレイアウトにモヤモヤしていたのですが、やはり納得がいかない!ということになり、上から二番目のツバメを止まっているツバメに変え、文章の改行も変えたのですっきりしました。

レイアウトを決めるときは遠くから見たり、写真に撮って確認したりします。

特に写真に撮ると間の抜けたところはよく分かります。

このように途中で変更することはよくあります。

台紙に使用しているのは模造紙です。

彩色してレイアウト確認

10)レイアウト最終調整

試し塗りをしたものをレイアウトに乗せて、色のバランスや全体的な雰囲気をチェックします。Barn Swallowの部分は本番では水彩で書こうと思っていますが、簡単に色鉛筆でイメージチェックしています。

少し見えにくいですが、文字の高さ、行間、予定している画面の縁から基準となる線までの距離などを決めて書き込んでいきます。

このようにいろいろな紙を貼っていると紙の端が目に入って仕上がりがイメージしにくくなります。
ごちゃごちゃしていてそれが書き込んだように見え、本番で文字と絵だけになったときに間の抜けた寂しい感じになってしまうことがあるわけです。そのことも考慮しながらレイアウトするのですが、今回はスマホのアプリでそのごちゃごちゃを消して確認したりしました。便利ですねぇ。

ガイドライン引き

11)本番用紙にガイドラインを引く

本番用紙(ここではファブリアーノ・クラシコ5)にガイドラインを引いていきます。完成後に無理に消さなくてもいいのですが、私は消した方が字が紙に馴染んで見えるので出来る限り消しています。

シャープペンだと紙に跡が付きそうだったので、2Hの鉛筆で軽〜く薄く引きました。

ほとんど製図ですね(笑)

文字入れ

12)カリグラフィーで文章を書く

さて、ここからが緊張の本番です。

一文字目で失敗することもあるので絵よりも文字からいきます。一文字目で失敗したら頑張った製図もパーです。本当に緊張します。

写真にはないですが、Barn Swallowの文字を別の紙で何回か書いた後すぐに本番に入っています。この文字はニブがC1、ウォーターカラーです。

文章はニブがブラウゼ3/4、ガッシュで書いています。

ライトテーブルで下書きを写す

13)下絵を写す

ライトテーブルで下絵を写します。神経質に下絵通りきっちりではなく少しくらい変わっても大丈夫なので気楽にいきます。実際写した後、葉を書き加えたりしています。

手の脂が紙に付かないようにすることや、カリグラフィー部分が擦れて汚れないようには神経を使います。

ツバメ2羽彩色

14)ツバメ2羽を彩色する

今回は色鉛筆(ファーバーカステル・ポリクロモス)を使用。
遠目のツバメは気軽に描きました。もちろん手抜きではないですよ(笑)

ツバメの巣の彩色

15)ツバメの巣を彩色する

ヒナの生命力は口の開き具合かなと思ったので、口を大きく開けたところを描きました。親ツバメの翼は難しかった部分。もっと鳥の体を勉強しなければと反省…

よし原の彩色

16)ヨシ原を彩色する

色々な色を塗り重ねているので相当時間かかってます。測るの忘れた〜

日が落ちた直後の空の群青色と深い紺色がまだらに入り混じっている感じを出しています。

ツバメたちも寝ぐらとなるお気に入りの場所を見つけたばかりなので、まだ眠ってはいない様子を出すために色々な向きに描くのは楽しかったです。

ツバメの完成全体像

17)完成

ガイドラインを消して完成です。

全体を見て、描き足りないところは修正しています。

サイズ540㎜×240㎜

完成作品上部

完成品上部

完成作品下部

完成品下部

以上が『ツバメ』の制作過程ですがいかがでしたか?少しは参考になったでしょうか?

全体としては3週間くらいかかっていると思います。このデジタル時代に自分でも何やってるんだろと思うこともありますが、手書きの良さはやはり捨てられないですね~

作品を作り終えると気が抜けると同時にまた一つ成長したようにも感じます。
カリグラフィーをする方はどんどん作品作りするといいと思いますよ!

最後までお読みいただきありがとうございました。

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