なにはともあれペンが必要。とにかくペンがなければ始まらない。
でもどんなペンを使ったらいいのか始めは分からないと思います。
そこで、改めてペンとは何か?
ペン
文房具の一つ。先を尖らせ、縦に割れ目を入れ、インク・墨などを含ませて書くもの。羽軸や金属で作る。洋筆。万年筆やボールペンをも含めていう。
出典:広辞苑 第六刷 岩波書店
ペンとは何か広辞苑で調べるとこのようにありました。意外にも古いタイプのものが説明されていて、私たちが当たり前に使っているインクが入った状態のペンはまだ歴史が浅いためか、「そちらもペンですよ。」的な書き方です。
カリグラフィーをやろうとしている方はたぶん古いタイプ、ペン先とペン軸が分かれていて、金属製のペン先でインクにつけるタイプのものを想像していると思います。ですが「カリグラフィーペン」と検索すると万年筆やマーカータイプのカラフルなペンが出てきます。カリグラフィーやっているという気分が上がるのはやはりつけペンタイプ!と私は思うのでここではペン先とペン軸タイプ(つけペン)を紹介したいと思います。
インクの入った一般的なペンタイプもおまけで紹介していますのでチェックしてみてくださいね。
ペン先の種類
ブロードペン
金属製の幅の広いペン。ペン先(ニブ)には様々な種類があり、書き味も、出せるラインも違います。ペン軸にはストレートホルダーを使います。インクを溜めておくレゼボアと呼ばれる部品が一体になったものと、取り外し可能なものがあります。
- スピードボールCシリーズ(アメリカ:スピードボール社製)
No.C-0, C-1, C-2, C-3, C-4, C-5, C-6 (4mm~0.5mm)
C-6以外はペン先に2本のスリットが入っていてインクフローが良い。
レゼボア一体型。
初心者にはC-2 (3mmくらい)がおすすめです。
小さい字は書き辛い気がします。
- ミッチェル・ラウンドハンド(イギリス:ウィリアム・ミッチェル社製)
No.0, 1, 1-1/2, 2, 2-1/2, 3, 3-1/2, 4, 5, 6 (4.0mm~0.4mm)
薄い金属でできているので細い線が書け、小さい文字に向いています。
レゼボアは別売りになっているので自分で取り付けます。
弾力性があるので筆圧をコントロールできます。
初心者にはNo.1, 1-1/2, 2がおすすめです。
- スクエア・ニブ(ドイツ:ブラウゼ社製)
5.0mm, 4.0mm, 3.0mm, 2.5mm, 2.0mm, 1.5mm, 1.0mm, 0.75mm, 0.5mm
とても固いペンなので筆圧が強い人にはおすすめです。
レゼボア一体型。
角のシャープさが欠けますが引っ掛かりにくいところはメリットです。
初心者には3㎜、2.5㎜、2.0㎜がおすすめです。
ポインテッドペン
先のとがったニブ。主にカッパープレート体を書くときに使います。
ブロードペンに慣れてから使い始めるのがおすすめですが、どうしてもあの優雅なカッパープレート体が書きたい!という方は挑戦してみてください。
ペン軸はストレートホルダーの他にオブリークホルダーを使用します。持ち方も独特なので難易度マックスです!
- ハント101(アメリカ:スピードボール社製)
カッパープレート体を書くときに初心者にもおすすめです。 - ジロット303(イギリス:ウィリアム・ミッチェル社製)
少し硬めの細い線が書けます。 - 日光 Gペン(日本:立川ピン製作所)
書き味は硬いですが丈夫です。漫画家さんが使っているイメージがあります。
ポインテッドペン関連でおすすめのショップはこちら
PaperTree https://www.papertree.jp/SHOP/178962/196183/list.html
その他の筆記具
左より順に
- コーラペン:コーラの空き缶から作られたことからこの名前がついています。自分好みの形を調整して簡単に作れます。持ち方の微妙な変化で線の表情が変わります。
- フォールデッドペン:コーラペンと同じ構造ですが固い金属でできています。
- ルーリングペン(2種):製図道具のカラス口です。ネジを調節して線の太さを変えます。持ち方によっても線の太さが変わるので表情豊かな線が書けます。
- オートマチックペン(3種):幅の広い一本の線から、複数の線を同時に書けるタイプまであります。
- 羽ペン(持っていないので写真がないです):鳥の羽の軸の先端を削ったペン
- 竹ペン・葦ペン:竹や葦を削ったペン
- 平筆:特にローマンキャピタル体が美しく書けます。ナイロン製のコシが強いのがおすすめ。
- 丸筆:ブラッシュライティングに。極細の面相筆はカッパープレート体が書けます。
ペンの使い方
まずニブをペン軸に差し込みます。奥までしっかり差し込んでください。
スピードボールとブラウゼのニブはレゼボア一体型ですが、ミッチェルはこの時点でレゼボアを裏から取り付けます。締め付けがゆるいとずれたり落ちたりしてしまいます。逆にきついとペン先が重なりあったりして線が書けません。小さなペンチなどで微妙に調整してください。
レゼボアはペン先が少し出るくらいの位置で留めます。下の画像はミッチェルを裏からと真横から見たもの。
スピードボールでもレゼボアとニブ本体の間が狭くインクが少ししか入らない場合は、マイナスドライバーなどを差し込んで空間を広げますが、この時レゼボアの先端がニブ本体から離れないようしっかり押さえながら広げてください。
右下の画像は上が隙間を広げる前、下が広げた後。
新品のニブには錆止めコーティングがしてあるのでインクをはじいてしまいます。アルコールで拭き取ってから使用してください。アルコールでも取れない場合は2秒ほど火であぶり水につけてください。
持ち方は鉛筆と同じです。親指が飛び出すような持ち方などはうまくペンを動かせないので親指、人差し指、中指で均等に支えてください。
いよいよインクをつけます。
インクは買ってきた瓶そのものにペンを浸してしまうとインクが汚染されたり、書いているうちに水分が蒸発したりします。そのため小さな小瓶にスポイトで少量移し替えて使うほうがよいです。
インクはレゼボアの隙間にスポイトで入れたり、ペン先を小瓶に直接入れたりします。
スポイトが蓋の裏についているインクもあります。
絵の具(ガッシュ)を使う場合は、絵の具が沈殿するので都度かき混ぜてから筆でレゼボアとニブの隙間に入れます。乾いて固まりやすいため、頻繁にペン先を水につけてインクフローをよくしておきます。
ガッシュを使った書き方についてはこちらの記事を参考にしてください。
使い終わったらニブをペン軸から外し(ミッチェルはレゼボアも外します)、歯ブラシなどを使って水で洗います。レゼボアが取れないタイプは入り組んだ隙間もよく洗ってください。
水分のふき取りにはキッチンペーパーが向いています。ティッシュは柔らかく破れやすいので、ペンの切れ込みがティッシュの繊維を噛んでしまいます。ある程度拭けたら錆びないようによく乾かします。
ペンの保管方法
きれいに洗ったペン先はよく乾かしてケースに入れて保管します。密閉とまではいかなくてもさびないように湿気から守ったほうがいいです。
また、次に使うときにわかりやすいようにペンの種類、幅ごとに小分けに収納できると便利です。
私は百均の仕切りのついたケースを使っています。こんなの↓
余談ですが、お菓子の空箱に仕切りを自作したこともあります。
バルサ材を切って作ったのですが、二段式になっていて下にはペン軸を入れられるようにしました。
ただ残念なことに、仕切りの高さが低すぎて蓋との間に隙間ができてしまい、ワークショップの会場で開けたときに中がぐちゃぐちゃになってしまっていたという悲しい思い出があります(笑)
ペンの替え時
ペンは消耗品です。書いているうちになんだか書き心地が悪いなと思う時がやってきます。
輪郭がシャープに出なかったり、インクフロー(インクの流れ出具合)が悪くなったり、ペン先の割れが閉じなくなったり… 特に柔らかいペン(ミッチェルとかポインテッド)などは消耗が早い気がします。私の筆圧がかなり強いのもあると思いますが。
包丁のようにペン先を研いで復活させる方法もありますが、少し慣れが必要なので別の機会にお話ししたいと思います。
初心者の方はまず新しいペンと書き味を比べてみて、明らかに悪いようであれば交換することをお勧めします。
おまけ
気軽に使えるカリグラフィーペンをおまけで紹介します。
インクや絵具の準備、洗浄などの手間がいらないので作品の構想段階でも重宝します。
パイロット パラレルペン
ペン幅が6種類あり、インクはカートリッジ式で12色
ペンのエッジでもきれいに書けます。
呉竹 水性ペン ZIG カリグラフィーシリーズ
色数豊富なツインマーカータイプのペン
ペン先が割れたスクロールタイプやブラッシュタイプもあります。
他にもいろいろなペンが出ていますので、ぜひお気に入りを探してみてください。
まとめ
カリグラフィーのペンにはつけペンタイプ、特殊な形状のもの、普通のペンタイプがある。
使い方は簡単ですぐに書くことができる。
保管方法に気をつけて大事に使うと長持ちする。
ということがお分かりいただけましたか?
以上【カリグラフィーの道具 その1】ペンについて でした。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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